空想社会人日記

※フィクションです

Yとのこと④

Yと少し会わない日が続き、3連休明けでYが出勤してきた。
腕に小さな絆創膏を貼っていた。
あ…こいつ…ついにやったな‼︎と思った。ビジュアル的にはやりそうな感じはしていたし不安定さがあったからそこまで衝撃は無かったけど。
もともと話は聞いていたが、おじいちゃんが春先に倒れてしまい、認知症状が強く出ているという話は聞いていた。また、家にはYと母親しかいないとのこと、おそらく仕事場でも家庭でも気が休まらないのだろう。でも、たかが職場の先輩の僕にはできることは少ないし、介入するべきでもない。話を聞いてあげることしかできない。母親も話をきくとだいぶ過保護であり、おそらく普通の家庭とは少し違った生活を送ってきたのだろうという推察はいくらでもできた。前々から息苦しい時がある、あまり食事が食べれない日があるというのは僕に言ってくれていた。

だからこそ、ついにやったなと思った。
朝イチ、僕はYに「やったな」と言った。Yは「いやー怪我しちゃって」と言った。
お昼休憩中にも聞いた「やっただろ」Yは「えー、ほんとに怪我しちゃっただけです」と
仕事終わりに聞いた「お前やっただろ、正直に言いな」Y「やっちゃいました。でも小さいです。ほんのちょっとです」
やったんかい

Yは勉強はしっかりやっているし、少し不安定なところはあるけど、新人なんて最初はみんなしんどいもんだし、順調順調とか思っていた矢先にリスカしてきやがった。大変なことになったと思うと同時に神様から僕に与えられた試練だと思うとワクワクしてきてしまった。楽しくなってきた。
Yは「家で色々しんどいことがあって、明日仕事だとか考えるとウワーってなってやっちゃいました。」

勘弁してくれよ、頼むよ、俺は誰に相談したら良いんだよ

こうして僕はいかにしてYに心の平穏を保ってもらうかという闘いが始まるのだった。

Aという後輩とご飯に行った帰りに「先輩(僕)はいつも何考えてるか分からないですけど、先輩の好きな女性のタイプが分かった気がします。Yさんみたいな面白い女の子がタイプなんですね」と言われた。
僕は食事中Yの話ばかりしていたらしい。
なんだか気付かされた気がした