空想社会人日記

※フィクションです

Yとのこと⑤

Yがリスカしないように何をどうしたら良いのか分からなかった。
でも仕事もしんどいし、自宅に帰ってもしんどいし。母親に自宅にいるのがしんどいなんて正直には言えないだろうし、母親も大変なのに自分が仕事が大変だなんて言えないだろうし。とにかく辛いということを話す相手がいないんだなと思った。居場所がないんだなと。

じゃあ僕がYの居場所になってあげるしかないと思った。僕は先輩の、指導者としての範疇を超えることを決めた。
本来そんなものは家族か彼氏か、友達かが担う役目である。しかし、Yには誰もいなかった。しょうがないことではあるかもしれないが、それは先輩の役目ではないし指導者の役目ではない。そこまで介入してはいけないと思う。でも僕にはそうするしか思いつかなかった。

YにLINEで連絡をとり、仕事の話や趣味の話、世間話をした。休みの日に1人でウワーってならないように、常に連絡をしてトランス状態にならないようにした。
仕事をしてても家で本を読んでても、筋トレしてても、頭の片隅に「今日はYは大丈夫かな、家で泣いてないかな、リスカしてないかな」と考えていることがすごくしんどかった。常にハラハラ心配している状態。お使いに行った子供の帰りを待つ母親の気持ちが少しわかった。

Yとはコミュニケーションの時間をすごくとった。仕事の時も、そうじゃない時も。ご飯が食べられない、家で何も食べないとか言うから仕事終わりにご飯を食べさせた。モスバーガーなら無限に食べられるとか大嘘つくから連れて行ったら1つしか食べなかった。
Yはあまり帰りたそうにしなかった。遅い日は21〜22時ぐらいまで一緒にいた。寂しかったんだろう。
Yも
僕も

話をしていて楽しかった

前にも書いたがYの僕に対する態度は異常だった。さすがです。好きです。大好きです。一緒にいてください。明日はいないんですか?無理です私やっていけませんetc‥…
Yは純粋に何にも思わずに言っているのかもしれない。僕のことを別にどうとも思ってないのかもし」ない。けど僕にとっては刺激が強かった。勘違いしてしまいそうになった。

僕は最近なにわ男子にハマっている。歌がいい。
特に大西流星くんの顔が好きだ。
なんだかYの目や輪郭が大西流星くんと少し似ているなと思った

そう思うと少し好きになってきた。

とにかくYは僕にすごく素直にストレートに思いをぶつけてきてくれた。こいつ僕のこと好きなのか?
年下の女の子にコロッと騙されておじさんが社会的地位を奪われてしまうのは良くある話だ。気をつけようと心に誓った。

何年か前から、僕は付き合っていた彼女に対してあまり良い感情を抱けなくなっていて「今後僕のことをすごく好きだと言ってくれる人が現れたら彼女とは別れる」と決めていた。

そんな時Yが現れた。
僕は彼女と別れる決意をした。別にYが好きだとか、Yと付き合うとかではない。Yが僕のことを好きじゃなくても良い。
時が来た、ただそれだけ。
今しかない‼︎と直感で思った。
大きな波が押し寄せてきて、この波に乗るしかない‼︎
この波に乗れば違う世界に行けるかも
と思った。

彼女と別れるきっかけをくれたYに感謝している