空想社会人日記

※フィクションです

出会い

 僕には彼女がいる。付き合って5年目になる。出会いは大学生1年性の時だった。
 僕の大学は1年性の春学期にゼミがある。他の学部の人とごちゃ混ぜの10人程度のゼミに分かれ、簡単なテーマでまとめて学期の終わりに発表するというものだ。彼女は同じグループの1人だった。
 初日、ゼミの教員が一人暮らしの人は手をあげて、どのくらいいるの?と尋ねてきた。僕は大学までの通学の時間が無駄だと思っていたので近くで一人暮らしをしていた。僕は手をあげた。手をあげたのは1人だった。
 大学が始まり2ヶ月程度経った。近所のスーパーや駅で長いスカートを履いて深々帽子をかぶった、ちょっとダサい女の人をよく見た。僕は一度みた人は骨格や歩き方、顔はなかなか忘れない。名前は覚えられないけど、その人の姿形は覚えている。その女の人はダサかったが身長は高く、スラッとしていたからよく目についた。スーパーでパンを買って家に帰ろうとすると、エントランスにその女の人がいて先に家に入っていった。あぁ、同じところに住んでるのか、としか思わなかった。
 ゼミの教室に入ると見たことある骨格、服装の女性がいた。そう、すぐに気づけなかったが、僕が家の近くでよく見かけた女の人は同じゼミの1年生だったのだ。もしかして…同じところ住んでない?と話しかけた。「私もそうやとおもってた。」ぼーっとしていて、教員に一人暮らしを聞かれたとき手をあげなかったらしい。そして僕は201号室に、彼女は301号室に住んでいることが判明した。僕たちは上下で生活していたのだ。そこで、僕たちはお互いを真に認識し合った。
 家の前でドアを開けようと鍵を取り出した時、彼女が階段を上がってきた。「あ。なんかあった時に連絡とか取れた方が良いと思うから連絡先教えて」と言われた。僕はすぐに携帯を取り出してLINEを交換した。正直浮かれた。大学1年生で新しい環境にワクワクしていたし、若かったから出会いなんかにも期待していた。同じ家の上に女の人が住んでるなんて漫画やドラマみたいだし、女の人から連絡先を交換してなんて言われることなんて初めてだった。嫌でも意識しちゃうよな。その日はいつLINE来るかなー。なんてワクワクしながら携帯を触っていた。
 LINEは1ヶ月以上来なかった。

 

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※フィクションデス