空想社会人日記

※フィクションです

謎の女:ミサキ③【食事】


食事の誘いにハイテンションな僕は乗った。
僕はワクワクが止まらなかった。

今日会って僕を勧誘か詐欺をしてくるんだろうなぁ、どんなこと言われるのかなぁ、楽しみだなぁと。心躍っていた。

その反面、仕事終わりになけなしの体力を振り絞って会うわけだし、食事するってことは時間もお金も消費するわけで、めんどくせーっと冷めた自分もいた。

今日、ミサキと会って勧誘や詐欺をしてきたらこの話しを面白体験としていろんな人に話そう!。
もし仮に本当に万が一の場合だが、ヨドバシカメラボードゲームを探している不細工でスタイルの良く無い12時間働いたあとでボロボロの僕に一目惚れをしてしまい、恋愛目的で連絡してきていて食事に誘ったのであれば、めんどくさいし、僕の彼女にも申しわけないしもう関係を断とう!
と考えていた。


仕事が19時半ごろに終わり、すぐにミサキに連絡。20時にドンキホーテ前で落ち合うこととなった。

僕は夜になり、少し怖くなっていた。
行った先で男に囲まれてボコボコにされたらどうしよう。なんか事件に巻き込まれたらどうしよう。

待ち合わせ場所に向かう間にミサキに連絡した。
『ミサキのこと、マルチ商法、宗教の勧誘、なんか高いものを買わせてくる人やと疑ってるから』
『楽しみと怖さ半々やからよろしくね』
先制攻撃だ!!

「そんなの買わせないよー笑」
「うちの事忘れてるな?めちゃ田舎もんだよ笑」

騙されないぞミサキ!!!

ドンキホーテ前で集合と伝えられた。

ドンキて
風情の無い

どうやら買いたいものがあるらしい

僕はもう騙されることは覚悟してたから
『1万円以下なら買ってあげへんこともないよ』
と再度攻めた

「いやいいわ!1万て!爆買いできるやん!笑」

そうなの????

ミサキと初めて出会ってから3ヶ月経っているし、逆ナンという人生初体験でド緊張していたのもあって顔なんて覚えていなかったし、ミサキがどんな外見の人なのか正直わからなかった。

『どんな格好して待ってるの?』

「茶色のコート着てる!」

『茶色のコートだけやったら多分他にもいるからもっと何かない?』

「豆乳持ってる!」


………豆乳??? 
何故??
そんなに豆乳が今飲みたかったのか??

集合場所に行くとケータイ片手にパックの豆乳を飲む茶色のコートを着た女が居た。

居た。

僕はミサキの周りに仲間が待機していないか遠目で確認し、1分ほど監視していたがそんな様子は無かった。

少し安心。

勇気を出して声をかけると思い出せた。確かにこんな声してたわ。

「うちさー、行きたい中華屋さんがあるんだよねー。すぐそこだから行こうよ!」

おい!ミサキ!お前はすぐに自分のホームに持ち込もうとしてくるな!
と思った。
その中華屋さんがぼったくりの店で、ミサキと店長が知り合いであり、男を誘き寄せていっぱい食べさせてぼったくるつもりなのだと思った。
もしくは店の中にすでに仲間が待機していてボコボコにしてくるのかと思った。何もしてないのに。

まあ騙されるのが目的だしそれを楽しむために来てるし、それを覚悟して来たのは自分だからしょうがないかとも思って着いて行った。

ドンキがある道を右に曲がってすぐ

「あれ?中華屋さん無い!あれ?潰れてる!!」

無いんかい!!! 中華屋さん無いんかい!!
潰れとるんかい!!!
ほんですぐそこにあるんやったら待ってる間に下見せえへんのかい!!

ここで僕は思った
こいつ…人を騙す側の人間にしては何かおかしいぞ?
もしかして本当に純粋に逆ナンしただけなのか?
それともおっちょこちょいなだけなのか?

いや、まだ信用するにははやい、はやまるな自分

「えー、私エビチリ食べたかったのになー」
『無いやん中華屋さん、別の道なんかな?ちょっと歩いてみる?』

歩いていると王将があった。

「あ!王将ある!ここならエビチリ置いてるよね、ここにしようか」
『え!?王将でいいの??もっと良い所じゃなくて良いの?』
「全然良いよ」
「あ、でも結構人待ってるね」
「だったら向かいにあるお寿司屋さんでも良いよ」

エビチリ食べたいんとちゃうんかい!!!

そんなこんなで今夜私がいただくのはお寿司に決定した


店に入るとすぐに店員さんが
「飲み物の持ち込みはやめてください!!」

 

豆乳なんて飲んで待ち合わせするから…