空想社会人日記

※フィクションです

Yとのこと①

Yと出会ったのは2022年の4月。僕は社会人4年目、Yは1年目。僕は1年目の指導担当だった。僕の仕事では、新人1人につき、先輩1人が担当となり1年間面倒をみるというシステムがある。今年は新人が3名であり、指導担当者の先輩も3名、誰がどの担当になるかは未定である、新人の反応や相性を見ながら組み合わせを決定することになっていた。
K、Y、Rの3名が僕の職場にやってきた。
初めての顔合わせの日に僕は新人に技術を指導する係で、1日中教えた。
Kは一番真面目で、言われたことを言われた通りに実施し、オリジナリティを出すのには時間がかかるタイプ。
Rは言われたことを踏まえた上で、こうしたらもっと良くなるかなと考えたことを実施しオリジナリティに溢れていた。
YはKやRがやっていたことを見ていないのか、緊張し過ぎてるのか、前2人がやってみて指導したことを踏まえずに実施し、自我が強いのか、天然なのか、前の2人をみていないのかよくわからなかった。
Yは耳に穴がいっぱいあいていた、「私ピアスの穴が9個あるんです」(…なんで奇数やねん、普通両耳同じ数で偶数ちゃうんか?でも俺奇数好きやしなぁ…)「右が6個あいてて、左が3つあいてるんです」(…なんで右の時は個で左のときはつやねん単位揃えへんのかい。ほんでなんで6と3やねん。)
面白いやつだなと思った


僕は身につけているものや、所作、目線の動きなどで大体どんな性格、タイプがなんとなくわかる。わかるというよりは、偏見や決めつけに近いが、そうやって判断している。
Yが技術を実施している時に別の先輩がやってきて少し指導をした。その時に僕の肘にずっと手を触れながら指導を受けていた。僕は「あぁ、この子は何かに依存する子なんだな」と思った。
その日僕はYの肘がめちゃくちゃしわしわなことが気になって仕方がなかった。そんな僕も変わりものだが、言いたくてしかたなかった。我慢できなくて「なんかYさんの肘って脳みそみたいだね」と言った。Rが「先輩、それセクハラですよ」と。反省した。冗談のつもりだったけど、セクハラではないとしても、なんらかのハラスメントであることには違いない。迂闊であり思慮に欠ける行動だったと反省し謝罪した。

のちにYから「最初に会った日に私の肘みて、脳みそみたいって言ったじゃないですか。私それ聞いて一生この人に着いていこうって思ったんです」と言われるのは先の話だ。

僕は自分に自信が持てないインキャだから他人の顔、目をみて話すことができない。だからあんまり新人の顔は見れなかった。特にYは目が大きくてクリクリだったから見れなかった。綺麗なものは自分の矮小さを否応無しに分からせられてしまうから見れない。でもゲノセクトポケモン)みたいな顔をしてたことだけは覚えている。
これが僕のYとの出会いである。